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蓄電池設備BESS向けリスクマネジメント

長期脱炭素電源オークションは容量市場の一部であり、再エネの調整力として期待されています。 建設中および長期間にわたる維持管理において、保険を活用したリスクマネジメントが求められています。
Concept of energy storage system. Renewable energy - photovoltaics, wind turbines and Li-ion battery container in morning fresh nature. 3d rendering.

蓄電池設備におけるリスク

長期脱炭素電源オークションは容量市場の一部として位置づけられており、再エネの調整力として系統用蓄電池の活用が期待されております。建設中および20年超の長期間に渡る維持管理において、保険プログラムを含めたリスクマネジメントが必要です。

・蓄電池設備とは
蓄電池設備(Battery Energy Storage System/BESS)とは、発電されたエネルギーをバッテリーに貯蔵する設備を指します。脱炭素化への文脈においては、BESSは再生可能エネルギー電力の発電力のコントロールし、発電が困難な時間帯や災害などの緊急時にも安定供給を可能にさせます。EVなどの次世代の自動車の電力としても期待できます。
ひとたびBESSを建設すると20年超にわたり設備の維持管理が必要です。BESSの建設中から操業期間に至るまで、保険を活用したリスクマネジメントの一つの手段として有効です。

・蓄電池設備におけるリスク
2050年カーボンニュートラルに向けて、脱炭素の仕組みによる電源への新規投資を促し、電力不足の改善を目的とした入札制度として、2024年1月に長期脱炭素電源オークションが開始されました。長期脱炭素電源オークションで落札された発電業者等は、原則20年の長期にわたる容量確保契約金額を得ることができます。

蓄電池設備建設から操業の20年という長期にわたり、電力の安定供給を図るためには、保険を活用したリスクマネジメントが有効です。まず、蓄電池設備を取り巻くリスクを洗い出すことが肝要です。

熱暴走(火災)リスクとは

事故の発声頻度を鑑み、熱暴走(火災)はBESSの建設から操業段階において、所有者・建設事業者・運営管理者が注力すべ重大なリスクです。熱暴走(火災)への網羅的なリスクマネジメントが求められます。

例えば、操業中にバッテリー管理システムで監視・管理を行うためには、ガス検知、爆発防止、火災検知、火災鎮火への対策およびきめ細かい緊急対応計画等が必要です。こうした対策や計画は、設計段階から検討し、具体化しなければなりません。

安全性を維持し、安定した電力供給を目指すためには、保険を活用したリスクマネジメントが効果的です。まず、熱暴走(火災)リスク要因を分析し、分析結果の評価、リスクの優先順位付けを行います。そのうえで、保険を含めたリスク対策の選定を行います

熱暴走(火災)リスクの主な原因は以下の通りです。
• 温度制御不良(空調不良、監視不良など)​
• セルの製造上の欠陥(品質管理不良など)​
• 工事中の事故・損害(保管不良、移動による衝撃など)​
• 所定のパラメーター(温度、充電率、充電状態など)の範囲を超えた運転​
• 操作上の過失による損傷​

蓄電池設備BESS向けリスクマネジメントについてのお問い合わせはこちら

熱暴走(火災)リスク対策

熱暴走(火災)リスクのコントロールは、火災の3要素である「可燃物」「熱エネルギー(発火源)」「酸化剤(酸素)」を念頭に置き、対応することが肝要です。
蓄電池設備(BESS)を危険物として認識し、ハード面・ソフト面の対策、法令に準拠することが重要です。保険引受にあたっては、蓄電池設備(BESS)が世界の最新規準に適合しているかがポイントになる場合もあります。

具体的な対策(例)

ハード面
•消防法準拠(海外ではNFPA855準拠)
•離隔距離の確保(3m)
•安全規格準拠(UL9540、UL9540a)
•スプリンクラーの設置(NFPA13)
•火災報知設備の具備
•持続可能な水源の確保

ソフト面
•適正な設計(ケーブル選定等)
•有資格者による設置(トルク管理)
•法令上のメンテナンス遵守
•法令点検の周知・実施
•設置場所の周辺温度管理

進捗状況におけるリスク対策

ハード面、ソフト面の熱暴走(火災)リスクは、以下のようにプロジェクトの進捗段階毎に有効なリスク対策が挙げられます。

1.仕様:規格に準拠した仕様
・消防法準拠(海外ではNFPA855準拠)
・離隔距離の確保(3m)
・安全規格準拠(UL9540、UL9540a)

2.設計
・適切なレイアウト設計(バッテリーコンテナと主要機器(変圧器、インバーター、サブステーションなど)の分離)・離隔距離の確保(3m)
・各バッテリーコンテナ間の離隔距離の確保による連鎖反応の回避
・防火壁(コンクリートまたは複合材料)の導入

3.建設:BESS技術に精通・実績のあるEPCの採用
・適切なBESSの保管状況の維持(換気・不燃断熱材の利用)
・外部衝撃を与えない配慮(輸送・移動時の工夫)

4.防火システム
・スプリンクラーの設置(NFPA13)
・火災報知設備の具備
・持続可能な水源の確保

5.メンテナンス
・メンテナンス計画(毎月の予防点検、熱画像検査等)に基づく運用
・予備品・備品の確保
・BESSメーカーとのサービス契約

マーシュによる課題解決

保険を活用したリスクマネジメントを実行するにあたり、保険市場(保険会社)は蓄電池設備(BESS)の防火設備に大きな関心を寄せています。次いで、蓄電池(バッテリー)間の離隔距離に着目しています。加えて、緊急時の消防署、消防団や警察署などとの連携度合を明確にするために対話記録、緊急事態対応計画書などを備えておく必要があります。

蓄電池設備(BESS)向けの保険を活用したリスクマネジメントに効率的に取り組むために、リスクアドバイザーと早期連携し、物件の安全性、電力供給の安定性、万全な保護措置、理想的な立地選択を確保します。そのうでで、長期かつニーズに合った保険プログラムを組成します。豊富な実績と専門性を兼ね備えたリスクアドバイザーであるマーシュが蓄電池設備(BESS)向けのリスクマネジメント戦略の策定・実施を支援します。

・豊富な実績
マーシュは世界最大の保険仲介会社です。日本では1955年の設立以降、多種多様の業種や規模、上場企業を含む多くの日系企業とお取引しております。2010年より業界を先駆けてメガソーラー向け保険手配サービスを提供しており、再エネ分野に対しての経験を有しております。
業界知見を活かしたアドバイス・保険会社との交渉が可能です。

・専門性
リスクエンジニアやコンサルティングファーム、保険会社、保険代理店・仲介、銀行など、幅広い経験を有する担当者にて専門チーム構成を有しております。

・交渉力
国内で保険免許を有する全損害保険会社(約30社)の取り扱いがあり、お客様の状況やニーズに対し、保険料、補償内容、支払限度額など、あらゆる観点で最適な保険プログラムをご提案します。技術資料・データに基づく、理論的な保険会社との交渉が可能であり、保険会社 1 社では引受ができない高額プログラムを複数社で構成します。また、特殊リスクの保険手配 (レンダー要求条件対応含む)も可能です。

・事故対応体制
年間4,000件の保険金請求、および大型・大規模事故の処理を多数実施しており、かつ、チーム間の情報連携・知識の共有により、お客様の立場からの保険金支払いを実現します。

詳細については、こちらからお問い合せください。