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企業内保険代理店の最適化・譲渡を検討される際の重要なポイント

損害保険業に対する規制変更が検討される中、企業内保険代理店の閉鎖・売却を検討する動きが加速しています。構造的な課題を抱える日本特有の企業内保険代理店という仕組みは、保険コストの最適化やリスクマネジメント体制の強化といった本質的な課題の後回しの原因になっている場合があります。企業は自社の将来的なリスクマネジメント力を向上させ、長期的なレジリエンスを確保することが重要です。 マーシュは、グローバルでの知見と国内での実績を活かし、企業ごとの課題に応じて売却・提携・内製化など複数の選択肢を提示し、経営課題とリスク特性に即した最適な代理店のあり方を企業とともに考えます。
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損害保険業に対する規制変更が検討される中、企業内保険代理店の閉鎖・売却を検討する動きが加速しています。構造的な課題を抱える日本特有の企業内保険代理店という仕組みは、保険コストの最適化やリスクマネジメント体制の強化といった本質的な課題の後回しの原因になっている場合があります。企業は自社の将来的なリスクマネジメント力を向上させ、長期的なレジリエンスを確保することが重要です。

マーシュは、グローバルでの知見と国内での実績を活かし、企業ごとの課題に応じて売却・提携・内製化など複数の選択肢を提示し、経営課題とリスク特性に即した最適な代理店のあり方を企業とともに考えます。

企業内保険代理店の構造的な課題

2023年に明らかとなった損害保険会社の保険料調整行為を契機に、2024年から金融審議会・損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループにて損害保険業界の競争環境の歪みに関する是正策が議論され、企業内保険代理店の在り方もそのひとつとなりました。企業内保険代理店に焦点を当てると、以下のような構造的な問題点から他の代理店との公正な競争がなされていなかったとの指摘がなされています*。

金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」報告書の公表について

企業内保険代理店は、公正な競争に影響を与えうる独自の構造的問題に直面することがよくあります。

1. 立場の不明確さ

企業内代理店は損害保険会社の代理店である一方、顧客企業(=親会社その他のグループ企業等)との人的・資本的な結びつきが強く、その立場は不明確。実務能力の乏しい保険代理店であっても、グループ企業等への保険募集を行ってさえいれば、損害保険会社から一定の手数料収入が得られ、保険代理店として存続できる実態もある。

2. 手数料の「実質的な割引」としての機能

損害保険会社から企業内代理店に支払われる受け取る手数料は、保険料の実質的な割引になっているおそれがある。

リスク管理のインセンティブが働かない経営構造

企業内保険代理店は保険料の削減が自社の手数料収入減少につながるため、親会社の保険コスト最適化に取り組みにくい状況があり、親会社自身も手数料の社内還流や従業員の受け皿としての側面も重視し、本来目指すべきリスクマネジメント体制の再設計が後回しになる傾向があります。

 

企業内保険代理店に対する行政の対応

金融庁は、企業内保険代理店における「実質的な保険料割引の構造」の是正や、公正な競争環境の整備に向けて制度改正の検討を進めています。特に、特定契約比率規制の厳格化*が検討されています。なお、金融庁が実施した実態調査によれば、規制変更となった場合、調査対象の企業内保険代理店173社のうち4割強が規制に抵触する可能性があります。

*特定契約比率規制とは、「保険料の実質的な割引・割戻しの防止」及び「損害保険代理店の自立の促進」を目的として、損害保険代理店が、「自らと人的又は資本的に密接な関係を有する者を保険契約者等とする保険契約(=特定契約)」の保険募集を行うことを制限する規制です。

企業内保険代理店の再評価の必要性が高まっている

上記の制度変更の動きに加え、企業を取り巻くリスクが多様化・複雑化する中で、企業はリスクマネジメント力を強化する必要性が高まっています。これらを背景に、ノンコア事業としての企業内保険代理店の閉鎖・譲渡を検討する企業が増加しています。

企業内保険代理店の売却判断における見落とされがちなポイント

  • 長期的なエンゲージメントリスク: 売り手である企業は、一定の売却益を受領しますが、買主より長期の代理店起用拘束期間(7-10年)が設定されます。買主としては、保険代理店としての起用が長期間確定している事から、付加価値サービスや保険料コストの合理化を提案するインセンティブは生まれません。その結果、企業にとっては、本来目指すべき「保険コスト最適化」「補償内容の見直し」「経営リスクの可視化と抑制」といった本質的な価値創出が後回しとなる懸念があります。
  • 旧来型の保険カバレッジのリスク: 拘束期間中に保険条件の見直しやコスト適正化の機会が無かったとして、拘束期間後に当社にご相談をいただくケースや、事業活動が新事業・買収・海外進出など変化しているにもかかわらず、保険カバレッジが旧来型で柔軟に対応できずにいるケースが見受けられます。

■ 企業内保険代理店の売却判断における見落とされがちな視点

マーシュの企業内代理店に対する3つの戦略的選択肢

企業が規制の変化に対応し、保険代理店の構造を最適化するために、マーシュジャパンは3つの主要なオプションを提供しています。

1. 譲渡(売却または移管)

企業内代理店を外部企業に売却、移管する

2. 専門家との業務提携

専門の保険パートナーと協力し、能力を向上させる

3.自社内での体制強化(内製化)

自社内保険代理店機能の最適化

マーシュの選択肢ごとのサポート

上記3つの主要選択肢を客観的に比較検討し、企業のリスク特性や経営戦略に応じた最適な選択肢を選んでいただくために、当社は事業の課題整理から選択肢の可視化、導入支援までの一連のご検討をお手伝いします。

  • ビジネスのニーズと課題を理解すること
  • 最も適切な選択肢を視覚化し、評価すること
  • 成功した結果を確実にするための実施サポートを提供すること

規制の変化に先んじて、マーシュ ジャパンと提携することでリスク管理を強化しましょう。社内の保険代理店を最適化または移転するためのカスタマイズされたソリューションを探るために、ぜひご連絡ください。

 企業内保険代理店の再編方針に応じた選択肢と支援内容

 ステークホルダーごとの懸念とマーシュへの譲渡によるメリット

執筆者

上垣内 真

マーシュ ジャパン 執行役員