2026年3月に「リスクマネジメントの最前線:リスクマネジメント責任者が描くあるべき姿と組織の挑戦」と題したオンラインセミナーを開催しました。
セミナー後半では、パネルディスカッションとして、トッパンホールディングスCROの橳嶋俊司氏、セガサミホールディングス・リスクガバナンス本部長の竹山浩二氏をゲストにお招きし、リスクマネジメントにおける現状や課題、またリスクマネジメントを担う人材のスキルやキャリアパスなど、実態を踏まえた意見交換を行いました。
ここでは、パネルディスカッションの内容をレポートいたします。
橳嶋氏:始めにガバナンスに着手し、その整備を行ったことは正解でした。当時、140社もの海外子会社を束ねることに苦労し、共通のプロトコルが必要だろうと、以前M&A先のアメリカの会社に派遣された経験をもとに、ガバナンスの徹底とマニュアル化を図りました。その浸透には非常に苦労しましたが、ローカル幹部の不正がトリガーとなり1年以上工場の操業が止まっていた海外子会社を再興できたことで自信を深めました。
最近は、リスクマネジメント体制の強化を図っており、他社さんを訪問して成功例をお聞きしたり、関連する文献を見ながら施策に取り組んでいます。
竹山氏:特にリスク関連のキャリアを積んできたわけではありません。セガとサミーの統合に関わって来たことや、経営に近い部門を経験してきたことが、グループ全体に関わるリスクマネジメントには役立っていると思います。また統合直後に発生した大きなインシデント対応の経験も、現在の業務に活かされていると感じています。
原:欧州や米国企業のリスクマネジメントへの取組みは、20~25年くらい前は今の日本と変わらない状況だったと思います。どの企業も最初はインシデント対応や法規制など課題への対処から開始し、その過程で内部統制の整備や経営戦略と密につながっていくのだと思います。
上垣内:初めからプロフェッショナルだったわけでなく、現場のリスクをしっかりリーダーシップをとってマネジメントするところから発展していかれた、というお話は、リスクマネージャーやCROポジションを検討される企業の皆さまに大変参考になる内容だったように思います。
上垣内:両社とも報告ではなく、取締役会あるいは執行役員レベルでしっかりディスカッション、対話があるというのがすごく印象的でした。リスクガバナンスという観点で、欧州的な考え方というのはありますか?
原:はい、例えば内部通報ですが、海外には多くの法規制があるためグローバルでまとめるのは非常に難しいと言えます。海外のリスクマネージャーに聞くと、おそらく4つのポイントが返ってくるのではないでしょうか。
1つ目は、共通のプロトコルです。いわゆる組織全体に適用されるリスクマネージメントポリシーを作ること。
2つ目は、リスクマネジメントの手順書。しっかりと実行できる仕組みを作っていくということ。
3つ目は、リスクオーナーや各部門の代表者が集まる委員会組織。しっかりとリスク情報と課題を議論する組織が必要です。
4つ目は、内部監査計画です。組織が直面するリスクに基づいた監査計画を策定して、その結果はCROに報告されること。
この一連の要素をPDCAとして回していけるか否かがグローバルリスクガバナンスを成功させるポイントではないでしょうか。