マーシュ・キャプティブ・ソリューションズは2023年にキャプティブを125社新設し、過去4年間で約500に及ぶキャプティブの設立を支援してきました。その中には日本企業のキャプティブも含まれます。マーシュが世界中で手掛けるキャプティブのポートフォリオを紐解くと、約2,000社で計730億米ドルの収入保険料を引き受け、56のドミサイルで1,200億米ドル超の利益剰余金を有しています。下記は、マーシュが管理するキャプティブにおける2023年のサマリーおよび分析結果です。
下記3つの要因により、前年比で増加率は緩やかになっています。
グローバルなトレンドとして、カナダが非常に大きな成長路線を描いており、カナダのキャプティブ・オーナーが代替的なリスク移転策(キャプティブ自家保険)のメリットを享受する中、2023年には同国のキャプティブ保険料が78%増加しました。2022年にアルバータ州でキャプティブの設立が可能になった影響で、上記増加の大部分をアルバータ州が占めています。
世界的に、キャプティブ保険料増の大部分は英国(ガーンジー島)と欧州が占めており、2023年には保険料が平均15%増加しました。最も増加したドミサイルは、ダブリン、ガーンジー島、マルタ島、ルクセンブルクです。保護セル会社への関心の高まりがけん引役となり、欧州も成長の一躍を担いました。その背景としては、欧州においてキャプティブの財務規模に応じてソルベンシー規制を緩和させる比例的アプローチの採用があります。
キャプティブを保有する通信・メディア・テクノロジー企業(CMT)の約20%が複数のキャプティブを保有し、その多くが財物保険やサイバー保険、アンブレラ/エクセス賠償責任保険、延長保証保険、メディカル・ストップ・ロス保険などを引き受けています。
一方、ヘルスケア業界のキャプティブには異なる傾向が見られます。マーシュが携わるヘルスケア業界のキャプティブの2/3は単一の親会社が保有しており、全体の2割近くはセルキャプティブ、13%はリスク保有のグループが占めています。また、ヘルスケア業界の多くの企業が複数のキャプティブを保有しています。
アジア地域のキャプティブは、多様な事業を手掛ける大手複合企業によって設立されるケースが多いため、引受種目を業界別に分類・特定することは困難ですが、元受け保険市場の引受キャパシティの縮小に直面しているエネルギー・電力セクターの企業ではキャプティブ需要が顕著に伸びています。
アジアでは保護セルキャプティブ(PCC)も伸びており、多くの企業がセルキャプティブを自前のキャプティブ設立に向けた試験的措置として活用しています。
マーシュの分析によると、財物リスクを補償するキャプティブの85%以上で、引受限度額が1,000万米ドルを超えています。ファイナンシャルラインの場合、役員賠償責任保険(D&O)を引き受けるキャプティブの約65%が1,000万米ドル以上の限度額を引き受けています。サイバー保険の引受限度額は、マーシュが手掛けるキャプティブにおいて金額にばらつきがあります。
マーシュがマネジメントするキャプティブにおいて、自動車保険を取り扱うキャプティブの55%が100~200万米ドルの引受限度額を設定する一方で、その他の一般賠償責任保険を引き受ける45%では限度額は500万米ドル未満です。
マーシュ・キャプティブ・ソリューションズの詳細については、キャプティブ自家保険のウェブページをご覧ください。