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表明保証保険

表明保証保険は、マーシュのプライ ベ ート ・ エクィティ ・ アンド ・ M&A サ ー ビス(Private Equity and M&A Services/PEMA)部門が PE ファンド や事業法人のお客様の M&A 取引を 成功裡に締結するために提案する保 険ソリューションの一つです。

マーシュのグローバルプラクティスで ある PEMA は、M&A 取引に関する 専門的なアドバイスとソリューション を世界のあらゆる国と地域で提供し ています

マーシュは、M&A取引関連リスク保険の手配実績において
世界をリードしています。

はじめに

表明保証条項に係る交渉は、M&A 取引交渉における最も重要なプロセスです。まず、買収対象事業に関す る重要情報を売主が開示し、買主が 買収案件の価値と関連する債務を適 切に評価します。

買主は通常、売主が売却時に提供し た表明保証と補償条項に関して契約 上の責任を要求することによって、自 身の立場を守ろうとします。 売買契約中に、買主が売主または 保証者に対して表明保証違反に係る 請求申し立て手続きが定められます。 また、表明保証違反の際の売主また は保証者の補償の上限についても同様です。

従って、表明保証違反が発生すれば、 売主は買主に対して「補償責任」を 負います。この補償責任は、売買契 約において合意された補償期間に従 い終了しますが、時効の長い租税債 務に関する補償期間は 6 ~ 7 年に及 ぶこともあります。
場合によっては、 買主は売主に、買収価格の一定割合 を担保としてエスクロー口座に預託 するように求めることがあります。こ れは売主の期待資本収益率に大きな 影響を与えるため、特に撤退や別の 新規事業の立ち上げを考えている売 主にとって懸念となることが少なくあ りません。また、偶発債務を負うこ となしに投資を回収し、投資家に資 金を還元する「クリーンエクジット」 を目論む金融投資家や PE ファンド等 の投資家に深刻な問題をもたらすこ とにもなるでしょう。

買主の視点では、表明保証保険が付 保されていない表明保証や補償条項 は安心とは言い難く、違反が顕在化 した際の損害てん補の保証はありま せん。そのため、買主は多くの場合、 借入によって十分な資金を調達し、 効率的に買収を組成できるよう適切 な表明保証の組み合わせを必要とし ます。
こうした中、M&A 取引の買主と売主 による表明保証保険(「レプワラ保険」 とも呼ばれる)を利用するケースが 増加傾向にあります。これにより、取 引の当事者は、売買契約に含まれる 表明保証や租税債務に係る補償債務 に保険を付保することが可能になり ます。表明保証交渉に保険を活用す ることで、クロージング後も売主が引 き続き負うべき補償責任に対する買 主・売主間における認識の隔たりを埋めることができるのです

表明保証保険はどのような場合 によく利用されるか?

  • PE ファンドを売主とする取引で、売主ファンドが当該売り案件と別途買い案件を並行するような、売主が売却後引き続き補償責任を負う事が困難な場合
  • 売主のバランスシートが脆弱である、あるいは脆弱とみなされている場合 • 買主が売主から十分な契約上の補償を得られない場合(例:銀行主 導の経営破綻状態での売却等)
  • 株主構造が複雑であり、表明保証提供者が一部の株主に限定される場合 • クロスボーダー取引の買収契約において、不慣れな準拠法リスクを買主が懸念する場合 • オークション時の戦略的な保険活用により、売主の表明保証に関する高水準の補償責任を軽減することで買主の落札の可能性を高める場合

表明保証保険とはどのような保険か?

表明保証保険は、株式譲渡契約等の売買契約における売主の表明保証違 反リスクを対象とします。その目的は、 売買契約における表明保証リスクを保険に反映し、可能な限り売買契約の条件と同等にすることにあります

補償の対象は?

表明保証保険は、これまで知られていなかった売主の表明保証違反に起因する損害をてん補し、売主と買主いずれかが被保険者になることができま す。

この商品を購入できるのは?

表明保証保険は、「売主用保険(seller's or vendorʼs policy)」「買主用保険 (buyer' of purchaserʼs policy)」に大別されます。

売主用保険

売主用保険は、売主のための賠償責任保険であり、売主の表明保 証違反による損害を買主に請求さ れた場合に補償を提供します。この保険は、売買契約中に規定された補償額を上限とする売主の 損害をその争訟費用と共にてん補します。

売主用保険契約に基づいて損害 賠償請求が生じた場合、保険会社は売主/表明保証者に対し、 その請求防御への協力を要請し ます。なおx売主や表明保証者 による悪意の表明保証違反は保 険の対象となりません。

売主用保険は、売買契約中の売 主の買主に対する賠償責任を補償する損害保険の一種であり、保険上免責となる表明保証違反については、買主に対するその賠償責任を売主は引き続き負うことになります

買主用保険

買主用保険は、売主の表明保証 違反によって生じる経済的損失から買主や買収後の新設会社を保護するために活用されます。 この保険は、売主から完全に独立しており、買主は被保険者とし て保険会社に対する直接保険金 請求権を有します。従って、保険による補償は売買契約に規定された賠償責任限度を超えて設定することが可能です。買主用保険は、売主の悪意による表明保証違反にも補償範囲を拡大することが可能です。

保険会社は、売主・買主いずれもが保険による補償が本来の交 渉プロセスに代用されないよう に注視しており、確実を期するために何らかの経済的動機(リ スクシェア)が織り込まれます。 最も一般的な方法は、売主によ るリコースと買主による自己負担 額の組み合わせです。

買主用保険は、買主が売主の賠償責任限度額と期間を超える補償を要求する場合に多く活用され、売手の補償額と補償期間超過部分に保険が対応します。さらに、この種の保険により、売主の売買契約に基づく賠償責任の軽減交渉に活用すること(保険の戦略的活用)が可能となります

本件についてのお問い合わせはこちらからご連絡ください

表明保証保険の仕組み

保険会社は、潜在的租税債務に関する表明保証に加え、租税証書や税支払誓約に対する保険の提供を考慮します。後者については、保険会社が (保険証券上に)必要開示情報を定義し、保険契約者に対して損失軽減義務を課します。
この種の(他の表明保証と)包括的に補償を提供する保険契約の下では、特定された租税債務に関する補償が除外されることがあり、その場合は、* 特定租税債務のみに対応する保険が検討されます。(*注:日本国内では不可)

英国、シンガポール、香港、オーストラリア、米国、バミューダおよび日本の高格付け保険会社が表明保証保 険を引き受けています

適用免責条項は保険契約によって異なるものの、常に必要最小限の水準にとどめる交渉がされます。
標準的な免責条項は、大まかに以下の通り分類されます。

  • 将来事象や予想に関する表明保証 • 罰金/ペナルティに関する表明保証
  • 既知の表明保証違反や保険金請求に至る蓋然性の高い*事実の認知 (* 注:被保険者は、保険始期時の「保険事故未発生の表明(No Claims Declaration)」要差入)
  • 価格調整条項(アーンアウト条項等) に関する表明保証 • 売主の不正行為/詐欺(買主用保 険を除く)
  • 海外腐敗行為防止法(FCPA)および贈収賄や汚職に関する表明保証
  • 移転価格に関する表明保証 
  •  二次的な租税債務に関する表明保証 • 年金積立不足に関する表明保証
  • (表明保証違反による)間接損害 • 既存の環境汚染に関する表明保証 (ただし、 環境汚染賠償責任保険 契約により別途補償の可能性あり)

上記に加えて、不十分な買主デュー・ ディリジェンス や 売 主 ディスクロー ジャーを理由に免責条項が追加され ることがあるものの、追加実施される デュー・ディリジェンスにより、保険会社がこれらの取引特有のリスクを引き受けやすくなることも少なくありません。

表明保証保険の補償期間は、売買契約の補償期間に合わせて設計すること が可能です。

通常、一般的な表明保証や事業に係る表明保証については 24 カ月~ 36 カ月で、本質的表明保証と潜在的租税債務に係る表明保証については 6 年〜 7 年がこの保険契約で設定可能な最大期間となります。

(リスクが相対的に高い北米取引を除き)一般に、買主用・売主用のいずれも、保険料は保険支払限度額(保険 金額)の 1%から 3%の適用料率範囲で設定されます。
保険料は主に個別取引に特有な要因によって決まります。そのためこの目安から外れることもありますが、 適用保険料料率に影響する可能性が高い要因は以下の通りです。

  • 免責金額 
  • 対象会社の業種
  • (買収契約書の)準拠法
  • 入手可能な情報(デュー・ディリジェ ンス報告書を含む)の内容と質

大まかな目安として、保険会社は通常、 何らかの保険による補償を検討する前に、企業価値の 1%から 2%に相当する累計額を自己負担額として要求しますが、これは取引によって異なります。

場合によっては、売買契約に定める免 責基準額を反映した補償の保険設計も可能です。

保険料同様、設計可能な保険支払限度額は主に、準拠法、業種、取引の構造によって決まります。
*3 億米ドルまでの限度額であれば入手可能( * 注: 本邦発行保険証券の際は 1.5 億米ドル 程度)ですが、それを超える引受も入手可能な場合があります。

取引進捗度合いにより開示可能な情報も異なりますが、情報が多いほどよ り確度の高い概算見積りが期待できます。
保険購入動機と見積り依頼要件についての事前の協議も重要です。これにより、固有のリスク領域や具体的な保険購入目的に沿った概算見積りの算出が可能になります。

有効な概算見積りの入手に際しては、表明保証条項と補償条項を含む最新の売買契約ドラフトと共に、最低以下の情報提供が必要となります。

  •  取引のアドバイザー・リスト
  • ディスクロージャー・レター(或い はデータルーム・インデックス)
  • インフォメーション・メモランダム/ マネジメント・プレゼンテーション 資料 

保険料の概算見積りから最終引受条件 の確定見積りに移行するためには、引受保険会社によるデュー・ディリジェン スレポート等の重要文書を精査が必要です。
さらに、被保険者とその専門アドバイザーとの電話会議等により、買収対象事業内容、ディスクロージャー とデュー・ディリジェンスのプロセス、 および提供される表明保証や事業関連 の問題点に関する両当事者間の交渉について協議する必要があります。

引受保険会社は取引の規模と複雑さを考慮し、リスク分析のために外部の法律事務所を起用します。このリーガ ルレビューは保険会社の引受審査の一 環として行われ、その費用は顧客の負担になります。
レビュー開始前に費用の見積りと費用の上限が顧客に提示さ れ、保険契約に至った場合は多くの場 合、これらの費用は保険料の一部として相殺されます。 このレビューの目的は、被保険者のリーガルアドバイザーが実施済みの詳細デュー・ディリジェンスを重複実施することではなく、取引の複雑さにもよりますが、数日から長くても 1 週間 で完了します。
保険契約を発効させるために必要な期間は通常、全体で 3 週間から 4 週 間程度が一定の目安です(次の項目の「スケジュールとプロセス」参照)

スケジュールとプロセス

slected option
(第1/2週)
  • マーシュが必要情報一式を取りまとめ、依頼条件を顧客へアドバイ スの上、対象リスクの引き受けに最も適した保険マーケットへ概算見積り依頼を行う。
  • マーシュが 保険料、 引受条件、 信用格付け、保険金支払い能力、 補償範囲、(幹事としての)執行能力を含む保険会社の選択肢を織り込んだ概算見積りに従い、今後の進め方に関するアドバイスを提供する。
  • マーシュと被保険者が、(幹事) 保険会社の選定について合意に至る。
  • (幹事)保険会社の選定後、マー シュは必要に応じ、幹事による一 次保険を補完するエクセス保険の組成を並行して行う。
(第2/3週)
  • •顧客が選定した保険会社が保険引受審 査のリーガルレビューを実施する。 
  • 保険会社が (i) Q&A ログを含むデータ ルームへのアクセス、(ii) 買収契約書と ディスクロージャーレター(用意がある 場合)の全マークアップ、(iii) ターゲッ ト作成のインフォメーション・メモラン ダムやマネジメント・プレゼンテーショ ン等の買収対象企業概要、(iv) 買主の デュー・ディリジェンス報告書(非依拠 ベース)、(v) 対象会社の最新監査済み 決算書および直近の経営管理用財務諸 表の内容を審査する。
  • 保険会社は必要に応じ、外部顧問弁護 士を起用する。保険の購入に至らなかっ た場合はその費用(予算は概算見積り 時に提示)は顧客負担となるが、契約 に至った場合は通常、保険料で吸収す る事が多い。 
  • 保険会社とその外部顧問弁護士は、引 受審査とリーガルレビューの過程で提 供された情報に基づき、顧客向けの質 問票を作成する。引受審査にあたって 必須である電話会議に備え、顧客はこ の質問票に対する詳細な書面による回 答を事前に提供することを求められる。 
  • 上記と並行し、マーシュは被保険者に 代わり、表明保証保険の最終条件を交 渉する。
(第3/4週)
  •  表明保証保険契約の交渉が完了すると、両当事者の選択した時期に保険が発効する(注:本邦発行保険証券の際は保険料の全額前払いが要件)。保険を開始するにあたり、取引チームのメンバーが被保険者を代表して、署名・日付入りの「保険金請求の不存在についての表明 (NCD)」を保険始期日(通常買収契約締結日)およびクロージング時に提出する

ケーススタディ

slected option
取引概要

ASEAN に拠点を置く大手建設サービス会社の個人大株主による株式譲渡

 

取引状況

買主は、大規模な多国籍コングロマ リットで、M&A 取引の経験が豊富。 一方、表明保証と補償を求められた個人売主はその概念自体に不慣れだった

 

交渉上の課題

個人売主は、退職資金に充当する予定の取引による売却益を将来の偶発債務から隔離するリスク移転手段を求めていた。

 

保険ソリューション

個人売主は売主用保険の付保を決定し、マーシュは個人売主をリスクからより手厚く保護するために、取引固有の免責条項を最小限に抑えた 1,000 万米ドルの売主用表明保証保険を設計・組成した。

 

取引概要

インド IT 企業株主のプライベート・ エクイティファンド(PEF)と創業家によるエグジット

 

取引状況

PEF(ターゲット企業の過半数持分を所有)は買主(別の PEF)の要求を満たす表明保証に応じる意図はなく、創業家が代わって表明保証と補償に応じることを求められた。

 

交渉上の課題

創業家売主は、取引金額の 10%をエスクロー口座に預託するよう、買主に求められていた。

 

保険ソリューション

売主は買主にエスクロー預託金額を取引価格の 1%への減額を提案し、マーシュがその金額を超える 9% 相 当額を補償する 4,300 万米ドルの売手用表明保証保険を手配することにより、売主にとって魅力的な取引とソリューションになった。

取引概要

PEF による、北アジアに拠点を有す設計・製造企業の株式買収

 

取引状況

買主は、対象企業を買収するために複数の入札者が参加するオークションに応札した。

 

交渉上の課題

買主は、競争入札案件を落札するためにできる限り売主にとって魅力的な入札条件の提示を望んでいた。

 

保険ソリューション

落札する可能性を最大限に高めるために、買主はマーシュに相談の上、必要とする保険支払限度額での買主用の保険契約を検討した。マーシュは保険会社 3 社の協調引受による、総額 1 億 5,000 万米ドル支払限度額の買主用保険を設計・組成した。  

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マーシュの M&A アドバイスについて

PEMA プラクティスには、M&A や事業売却の交渉と長期的な財務上の成功に影響を与えるリスクと保険関連事項を専門的に 取り扱うスペシャリストが在籍しています。 25 を超える国と地域に 160 数名超の M&A 専門家で構成されるこのグローバル・プラクティスは、設立から 21 年余りで 1 万件以上の取引にアドバイスを提供しています。M&A、事業売却、インフラ投資、官民パートナーシップ(PPP)/プライベート・ファイナンス・イニシアチブ(PFI)、民営化、ストラクチャード・ファイナンス取引等に実績がございます。

プライベート・エクイティと M&A を専門とする 160 数名を超えるスペシャリストの中から、実務に強く、各業界に精通したクロスボーダーチームを結成し、広範な地理的展開を必要とする取引に対応します。アジア太平洋地域では、銀行、金融、保険等の多様なバックグラウンドを持つ多言語対応のプロフェッショナルが、各国に在籍しています