別法人のサイト(外国のサイトを含みます)へ接続します。

これより先は別法人のサイト(外国のサイトを含みます)へ接続します。
接続する場合は「別法人のサイト(外国のサイトを含みます)へ接続する」を、接続しないでこのメッセージを閉じる場合は「このページにとどまる」をクリックして下さい。

Skip to main content

エネルギー・電力業界:費用対効果の高い5つのリスクマネジメント対策

エネルギー会社や電力会社がプロジェクトを成功に導くための、適切なトータルリスクコスト(TCOR)の方法を知る。
Energy & Power Optimising TCOR

アジア全域で、エネルギー会社や電力会社は、引受キャパシティの制約や保険料の上昇など、保険手配をめぐる課題に直面しており、各社のバランスシート上でリスク関連の費用や負債が増加しています。この種の費用は、トータルリスクコスト(TCOR:total cost of risk)としても知られており、保険料、保有損害額、リスクコントロール費用の3つで構成されています。

従来型企業と再生可能エネルギー企業の双方が、この課題に直面

保険会社が脱炭素化や気候変動協定に参画する中、化石燃料業界では、保険手配できない対象を抱える従来型の企業が増加の一途をたどっています。その結果、石炭に留まらず、石油やガス関連からの撤退方針の表明や除外対象の増加が起きています。このような一連の動きは、保有損害額(自家保険の損害および企業の負債)の増加を招き、TCORを急上昇させています。

風力や太陽光などの再生可能エネルギー企業もまた、新興や黎明期の技術に関する過去の損害額データの欠如を理由に、保険の引受キャパシティが制約される可能性があります。引受キャパシティを確保できる状況でも、インフレなどのマクロ経済要因のあおりを受けて、保険料と保有損害額の両面にコスト圧力がかかります。

従来型企業と再生可能エネルギー企業の双方において、巨大自然災害リスクが深刻な影響を及ぼしています。巨大自然災害多発地域で異常気象の深刻度と頻度が増して、損害額が拡大する中、保険会社は、引受キャパシティの低減と条件の厳格化を図っており、深刻な補償ギャップが発生するとともに、保険料と保有損害額の両方が増大しています。

トータルリスクコストの高騰要因

財務的に持続可能で収益力の高い事業体制を確保するために、エネルギー・電力分野の開発業者や事業者は、リスク管理策とリスク移転策を入念に計画し、TCORを最適化する必要があります。保険の引受キャパシティ増加とTCORの引き下げに向けて、どのような施策を取ることができるのでしょうか。ここからは、その解決策について検討していきます。

解決策1:保険の申告価格とてん補期間について、最新情報を入力する

インフレ下で、損害発生後の復旧コストが上昇する中、多くのエネルギー・電力会社が、無保険損失のリスクを抱えている可能性があります。また、サプライチェーンの制約がリードタイムの長期化を招き、事業再開の遅延や、長期的な事業中断に伴う巨額な損害や負債の計上に発展するリスクもあります。

自然災害による損害額と復旧費用が上昇する中、保険会社は、エネルギー・電力企業の保険引受に際し、正確な申告価格とてん補期間の情報を求めています。これらの情報を得られなければ、一部保険や、保険金支払いを減額する比例条項が適用されるおそれがあるため、エネルギー・電力企業は、更改前に価値評価や事業中断の専門家と連携し、引き続き十分な付保条件を確保する必要があります。

解決策2:巨大自然災害および気候リスクのモデリングを実施する

異常気象に伴う損害が段階的に増大する中、開発業者や事業者は、気候変動が深刻な災害イベントの頻度に及ぼす影響など、巨大自然災害リスクを精密に調査し、保険料を的確に設定する必要があります。

巨大自然災害モデルでは、数千種類に及ぶ異常気象イベントのデータセットに、特定資産の脆弱性に関する詳細な技術情報を組み合わせて、潜在的な損失シナリオの範囲を洗い出します。従来のリスクモデリングは地震と台風に対象を絞っていましたが、洪水や山火事、雹(ひょう)が及ぼす影響の定量的なデータも求める企業がますます増加しています。モデリングの過程で、エネルギー・電力企業は、気候変動の影響で異常気象リスクが増大している状況を踏まえて、優先順位を付けながら、十分な情報に基づいて、リスク軽減に向けた投資とリスク移転の意思決定を行いやすくなります。

直近のエクスポージャー水準なのか将来の予想であるかを問わず、適切なモデリングツールを選択することも非常に重要です。たとえば、マーシュは、業界屈指のモデリング提供会社のみと連携することで、包括的で最先端の物的な気候リスクモデルを構築し、極めて高精度かつ的確な分析データを生成しています。

解決策3:リスクのある資産に対してリスクエンジニアリングを実施する

エネルギー・電力企業のリスクプロファイルを改善するには、リスクのある資産に対するリスクエンジニアリング調査の実施が大切です。専門家による現地調査もその一例です。たとえば、現地特有の脆弱性について理解を深めたり、改善の余地を模索したり、あるいは物的な気候変動モデリングの出力データを検証したりします。

リスクエンジニアリング調査で得た所見は、エネルギー・電力企業によるリスクプロファイルの改善や、保険引受キャパシティの増加、保有損害額の低減、リスクコストの低下に留まらず、プロジェクトの収益見通しの改善にも寄与します。

解決策4:リスクファイナンスの最適化を実施する

異常気象やサイバーリスクなどの主要なエネルギー・電力リスクに備えて最適な補償水準を確保しつつ、もう一方では保険料を抑える必要性に迫られる中、企業は往々にして、保険会社が提示する各種保険商品の公平な評価に苦慮しています。たとえば、提示された補償限度額が十分なのか、免責の設定がリスク許容度の枠内に収まっているのか、あるいは保険料の見積額が公正な水準なのかなど、判断に窮する場面があります。

リスクファイナンスの最適化(RFO)を活用すれば、企業は、経験豊富なアクチュアリーやデータアナリストの力を借りてモデリングをシミュレーションすることで、最もコスト競争力のある保険商品を探しやすくなります。

解決策5:代替リスク移転ソリューションを検討する

保険の引受キャパシティに制約がかかる状況下では、エネルギー・電力企業にとって、パラメトリック保険やキャプティブなどの代替リスク移転ソリューションが有力な選択肢になる場合もあります。

とりわけパラメトリック保険は、従来型の財物保険や事業中断(PDBI)保険の補償水準に比べて、有益かつカスタマイズ性に優れた代替案として定評があります。気象庁などの中立的な第三者の指数を基準に、事前に定めた閾値を超えれば、支払事由に該当します。再生可能エネルギー企業に固有の利点として、パラメトリック保険では、風速に応じた発電量保証など、発電能力も付保の対象になります。

そのほか、エネルギー・電力分野の開発業者や事業者にとっては、キャプティブ自家保険会社の設立ももう一つの選択肢になります。キャプティブを設立すれば、従来型の保険商品では付保不能または高額な保険料が必要になる可能性のある固有および新興のリスクなど、将来の損失に対しても明示的な保険手配の可能性が広がります。また、キャプティブで得られた余剰金は、重要な投資案件にも割り当てることもできます。

マーシュはトータルリスクコストを低減し、保険の効果改善をお手伝いをいたします

リスクマネジメントと保険仲介の世界的リーダーであるマーシュは、エネルギー・電力分野で信頼と実績を兼ね備えたアドバイザーです。深い業界知識や幅広い専門性、現地での存在感を活かして、テイラーメイドの事業中断レビューや保険評価、物理的気候変動リスクのモデリング、リスクエンジニアリング、リスクファイナンス最適化、さらには代替リスク移転ソリューションをご提案しています。マーシュは、各種ご提案を通じて、TCORを効果的に低減しながら、保険の効用を最適化するお手伝いをいたします。

マーシュへのお問合せはこちら