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保険市場がソフト化した局面でも、リスクファイナンスとしてのキャプティブ自家保険への関心が高まる背景

当社の2026年の最新調査によると、世界的に企業向け保険料率が低下する中でも、キャプティブ自家保険への関心は業界を問わず高まっています。

キャプティブ自家保険とは?

キャプティブ自家保険とは、企業が自社で設立した保険会社を活用して、自社のリスクを引き受け・管理するリスクファイナンスの仕組みです。この自社で設立した保険会社をキャプティブ保険会社といいます。この仕組みを活用することで、企業は保険料水準や補償内容、保険金請求対応をより主体的に設計・運営できます。加えて、引受による収益を自社内に取り込みながら、将来の財務戦略を支える資本の蓄積にもつなげることができます。

キャプティブ保険会社は、保険会社間の競争が弱まって保険料率が高騰する市場の逼迫局面において、コストの抑制と引受キャパシティの確保を目的に設立される傾向があります。

しかし、昨今では保険の市場サイクルに関係なく、長期的観点での経済合理性や安定性、柔軟性を獲得するための戦略的リスクファイナンスの手段としてキャプティブを導入する企業が増加しています。

市場がソフト化した折にキャプティブ自家保険が依然として人気な理由

1. 長期的観点での経済合理性

キャプティブ自家保険は、企業が採用するリスクファイナンス戦略の安定性を高めるうえで大きな役割を果たしています。具体的には、自社に固有のリスクプロファイルや戦略に合致した保険プログラムをテーラーメイドで設計し、下記のメリットを体現しています。

 

市場の不安定性への緩衝材

キャプティブ自家保険は、複数年・複数種目・種目横断保険限度額といった統合保険ソリューションを実現しやすくなるため、年間の保険料の負担が安定します。また、包括的な補償と合理的なリスクマネジメント体制を確保することも可能です。対照的に、従来型の保険契約では1年単位の契約更改が一般的であるため、保険料と補償範囲が不安定になる恐れがあります。

 

リスクの自己保有と範囲拡大

保険会社ではなく自社のキャプティブ保険会社において保険料を積み上げる仕組みになっているため、効果的にキャプティブ自家保険を運営できれば余剰資金が生まれ、その他の重要な投資案件へ活用する道が開かれます。

 

事業拡大に伴うリスクコストの戦略的な管理

キャプティブ自家保険を導入すれば、事業拡大に伴う保険コストを管理しやすくなります。たとえ市場がソフト化していても、事業を拡大すれば自ずと保険料も増加します。しかし、キャプティブ保険会社を設立すれば、保険コストの上昇前に対策を講じ、自社の成長目標に沿ってリスクファイナンス戦略を策定することが可能です。

 

2. 永続的なリスクに備えて補償の選択肢を広げる

特定の市場で保険料が下落したからといって、同様に全ての保険種目や保険市場が連動するとは限りません。

下記はその事例です。

  • サイバー保険の料率は低下していますが、AI関連リスク、物理的被害(インフラ等への被害)を伴うサイバーリスク、そして詐欺といった領域を中心に、ランサムウェア攻撃の深刻度および高度化は依然として保険会社にとって重大な懸念事項となっています。そのため、企業はキャプティブ自家保険を導入することで、企業向けサイバー保険市場における価格形成に非効率性が残る特定のレイヤーをカバーしています。
  • 医療トレンド率(医療制度における1人あたりの保険金請求額の年間増加率)は、アジア地域では引き続き高水準にあり、2026年に12.5%に達すると見込まれています。これは、同地域のインフレ率の6倍超に相当します。従業員福利厚生コストが高額になる中、キャプティブ自家保険を導入して医療費や福利厚生費を抑制する好機が訪れています。

代替的なリスク移転(転嫁)保険ソリューションは数多くありますが、その中でキャプティブ自家保険を導入すれば、以下の2つの事例が示すように、あらゆる市場サイクルを乗り越えて自社に最適なテーラーメイド型のリスクマネジメント戦略を構築し、リスクコストの軽減・安定化を図ることが可能です。

1. 多国籍企業の従業員福利厚生キャプティブ保険会社設立を支援

220の国・地域に40万人以上の従業員を擁する大手多国籍企業は、「従業員福利厚生のコスト管理と補償内容の最適化」を検討しました。

マーシュはクライアントのプログラムについてキャプティブ・フィージビリティスタディを実施したところ、効率的に福利厚生リスクを自家保有するには、特定の市場において新たなキャプティブ保険会社を設立することが有効な手段であるということがわかりました。そこで、マーシュは新体制への移行を全面的に支援し、保険契約管理体制の構築サポートに加え、保険種目別・地域別の引受実績を可視化する独自の会計ツールを提供しました。

これにより、クライアント企業はリスクの全体像を管理しやすくなり、世界各地にまたがる従業員福利厚生リスクに、効率的に対応できるようになりました。

2. サイバーリスクモデリングを用い、大手ヘルスケア企業のキャプティブ自家保険活用拡大を後押し

キャプティブ保険会社を有する大手ヘルスケア企業は、高額な免責額を伴う商業サイバー保険を手配していました。しかし、大規模なサイバー事故が発生した場合、現行の自己負担の仕組みでは、一部子会社に大きな影響が及ぶおそれがあると懸念していました。

まず、マーシュ キャプティブ ソリューションチームとマーシュ リスク アナリティクス チームはサイバーリスクモデリングを実施しました。クライアントがどのようなリスクを抱えているかを調べ、自己負担額や補償限度額をどのように設定できるか、いくつかの選択肢を検討しました。その結果、商業保険の超過保険と組み合わせることで、キャプティブ自家保険をより効果的に活用できると分かり、クライアントは複数の案を比較した上で、最も効率のよい仕組みを選ぶことができました。

マーシュのモデリングにより、クライアントはどこまで自社でリスクを負担するかを判断しやすくなり、キャプティブの初期保険料を決めるためのデータの裏付けも得ることができました。これにより、サイバーリスクに備えるための資金計画を、より適切かつ安定的に進められるようになりました。

3. 複雑かつ困難なリスク環境に備えて引受キャパシティを増大する

過去に高額損失を被ったり、リスクの高い業界で事業を展開したりしている企業は、保険会社から厳格な引受基準を求められ続けています。

アジア地域では財物保険の料率が低下していますが、企業は免責額や自家保険、他の保険商品を積極的に検討しており、パラメトリック保険やキャプティブ自家保険も代替的なリスク移転ソリューションとして大きく注目されています。

キャプティブ自家保険は、従来の保険市場では手配が難しいその他の代替的なリスク移転ソリューションを手配するためのビークルとしても活用されています。

例えば、パラメトリック保険ソリューションは事前に設定したトリガーに基づいて迅速に保険金を受け取ることが可能であり、企業が災害に備えてリスクファイナンス戦略を充実させる一助になっています。

代替的なリスク移転ソリューションを取り入れたマーシュのキャプティブ自家保険プログラムの取扱件数は、2025年に前年比10%増となりました。

キャプティブ自家保険は、複雑かつ困難なリスク環境において引受キャパシティを拡大します。企業がより一層レジリエントで包括的なリスクファイナンス戦略を構築するための原動力になっています。

 

キャプティブ自家保険の導入を成功させる秘訣

企業は組織全体で戦略的にコストを抑制してリスクを管理するためにキャプティブ自家保険を活用していますが、その導入に際しては落とし穴にも注意が必要です。

例えば、現地の規制要件への不適合のほか、運営費用やリスク保有の非効率性、不十分なリスク補償などもその一例です。企業は組織全体で戦略的にコストを抑制してリスクを管理するためにキャプティブ自家保険を活用していますが、その導入に際しては落とし穴にも注意が必要です。

マーシュが選ばれている理由

マーシュは、17年連続で世界第1位に選ばれている、世界を代表するキャプティブマネージャーです。2025年には、マーシュ キャプティブ ソリューション チームが世界で約1,500件の企業のキャプティブを管理し、その件数は業界第2位のキャプティブマネージャーを約50%上回りました。また、世界全体で790億米ドル超の保険料(自家保険の原資)を取り扱いました。

マーシュは過去10年間、幅広い業種を横断的に世界中で1,000社以上にキャプティブ・フィージビリティスタディを実施してきました。その調査結果を活かして、企業が十分な情報に基づいてキャプティブ保険会社設立の意思決定を行い、自社に最適なキャプティブプログラムを評価・特定できるようにお手伝いすることが可能です。

マーシュは徹底的な専門性、広範なデータ知見、厳格かつ体系的なアプローチを兼ね備えています。マーシュのキャプティブ・フィージビリティスタディは、貴社が十分な情報に基づいてキャプティブ設立の意思決定を行い、目標に沿った最適なキャプティブプログラムを組成するお手伝いをすることが可能です。

アジアでキャプティブ保険会社の設立が広がっています。これは、企業がリスク管理を単なる「市場の変動対策」ではなく、「会社の成長戦略」と捉え直しているからです。対象となるリスクも、従来の火災や賠償責任から多様化しています。そのため、自社に本当に適しているのか、長期的に価値があるかを事前検証するキャプティブ・フィージビリティスタディの重要性が高まっています。

Sean Welsch, 

マーシュ リスク アジア、キャプティブリスクコンサルティングリーダー

今すぐマーシュ担当者とのお打ち合わせをご予約ください。データ主導型のキャプティブ・フィージビリティスタディを活用して、貴社に最適なキャプティブ自家保険をご提案させていただきます。