グローバル保険市場インデックス:2025年4-6月(第2四半期)
マーシュのグローバル保険市場インデックスによると、2025年4-6月期のグローバルベースでの企業向け保険料率は前年同期比4%の低下となり、4期連続で低下しました。±0だった米国を除き、全ての国や地域において総合的な保険料率は低下しました。
多くの顧客は、保険料の低下と補償範囲拡大の両方において有利な状況でした。また、主要保険会社は、意欲的な成長目標を持ち、再保険の価格設定などの好条件もあり、保険会社間の競争は激化しました。
こうした保険料率の動向は、大規模災害や、連鎖的な自然災害の発生により、予期せず急変する可能性を視野に置いておくことが重要です。特に毎年、北米の熱帯低気圧/ハリケーンシーズンには注意が必要です。
財物保険の保険料率は、すべての地域で低下しました。金融・プロフェッショナル分野の保険料率は、特に役員賠償責任(D&O)保険などの分野において、保険料の引き下げが一段落した感があることから、引き続き緩やかなペースで進みました。
米国の賠償責任保険は、主に請求金額の高さと陪審員による非常に高額な判決額により、保険料率が上昇し他の種目とは別の傾向を示しました。エクセス賠償責任保険は、一般的にプライマリー保険よりも保険料率の上昇が著しく高くなりました。予期せぬ状況の変化がなければ、賠償責任保険のこの動向は当面は続く見通しです。
関税や国境紛争などの地政学的リスクにより、多くの業界では企業の成長計画に不透明感が生じています。経済の不透明感は保険契約の締結のペースと保険会社の成長見通しに影響を与えるため、保険会社間の競争が激化し保険料率の下落圧力となる可能性があります。
世界的な保険市場のソフト化にもかかわらず、顧客は、自家保険、パラメトリック保険、キャプティブ自家保険などの代替的なリスクファイナンス戦略を模索しました。新しいキャプティブ設立が引き続き進むほか、長期的なリスクファイナンス戦略の一環として、既存のキャプティブの最適化を進める企業も増えています。
新規および既存の保険会社が精力的に事業競争を展開しているため、この全体的な傾向は予期せぬ状況の変化がない限り、2025 年まで続くと予想されます。
保険会社間の競争が高まり、顧客にとっては低い再保険料率だけでなく契約条件においても有利な環境となりました。顧客が、リスクと引受意欲を再評価し、過去数年に獲得できた補償よりも、広い補償を獲得できる分野を特定していくためには保険仲介会社との蜜な連携が必要です。
-John Donnellyマーシュ、グローバル・プレースメント部門 統括責任者
マーシュのグローバル保険市場インデックスによると、2025年4-6月期のグローバルベースでの企業向け保険料率は4%の低下となり、7年間にわたって上昇を続けてきた保険料率が4期連続で低下。
新規および既存の保険会社間の競争が激化したことにより、保険市場の引受キャパシティは引き続き拡大し、顧客にとってより有利な条件と補償オプションが提供された。
継続する保険会社間の競争激化が主な要因となり、米国の±0の上昇率を除き、世界的に保険料率が低下。総合的な保険料率は、英国は8%低下、パシフィック地域は11%低下と大きな低下率が見られた。
賠償責任保険は 4% の上昇となったが、その他の主要保険種目では、世界的に保険料率が低下。
保険会社間の競争が激化する中で、顧客はより有利な契約条件、補償範囲の拡大、および自家保険やキャプティブ保険などの代替的なリスク移転ソリューションを検討。
グローバル保険市場インデックス:2025年4-6月(第2四半期)
*注: 本レポートの保険料率水準や保険料率の動向は、特に記載のない限りすべて平均値です。レポートの記載を簡易化するために、保険料の動向に関するすべてのパーセンテージを最も近い整数にしています。
本インデックスはマーシュ独自の指標であり、契約更改時の企業向け保険料率の変化を示しています。