アジアでのビジネスについて、適切な保険プログラムを評価・選択し、従来型の財物保険を補完するパラメトリック保険の手配をすすめることで、リスクファイナンスの最適化を図ることができます。それでもなお、必要な引受キャパシティにアクセスが難しいために、保険商品の手配に難航している事例も見られます。
マーシュのグローバル保険プレイスメント(=保険手配)チームは、高い経験値を有する専門家を世界中で450名ほど擁しており、幅広い市場でネットワークを築くと共に、リスクに関わる深い知識を有しています。保険手配の分野で培った専門性を活かして、費用対効果の高い保険の引受キャパシティ獲得に向けて、お客様を支援しています。
市場環境が厳しくても、専門性の高いリスクアドバイザーの支援のもとに、保険手配を改善する施策は複数あります。たとえば、強固なリスク管理戦略でリスクプロファイルを改善することや、適切なリスク軽減対策を講じることが挙げられます。熟練した保険手配の専門家を擁する当社は、保険料、免責、限度額といった条件の最適化を図る交渉の過程で、保険会社にリスク改善策などを明確に伝えることで、保険会社がより引受やすくなるように働きかけることができます。
そういったことを遂行していく上で、企業側は、起用している保険代理店や仲立人が、企業の業界特有のリスクに対する深い知識や知見、市場との確かなネットワーク、保険会社が提示する要件を理解していることはもとより、グローバルな専門家を背後に擁しながら、各国で存在感を有しているかといったところを確認していく必要があります。
昨今、多くの企業が補償の不足に直面しており、適切な範囲で最適な価値を提供する保険を求めています。下記のケーススタディでは、より良い成果に向けたマーシュのグローバル保険手配チームのサポート例を詳しく解説しています。
東南アジアのエネルギー電力プロジェクトに新規参入したある企業は、以前の所有者がリスクの50%以上をキャプティブ自家保険で対処していたため、所有者の売却後に20億米ドルに及ぶ引受キャパシティの不足に直面しました。
また、評価額や事業中断(BI)の情報を数年間更新しておらず、リスクエンジニアリングの改善も停滞していました。当時はエネルギー保険市場が巨額な損害に直面し、同プロジェクトでは一度も損害が発生していないにもかかわらず、保険料が急騰する可能性がありました。
マーシュのリスクコンサルタントは、最初にお客様の保険評価額や申告価格の更新をお手伝いしました。そして、リスクエンジニアリングや危機管理の側面もサポートし、お客様のリスクプロファイルを改善しました。さらに、マーシュのグローバル保険手配チームは保険会社に対して、改善後のリスクプロファイルを効果的に分かりやすく説明し、同プロジェクトの引き受けが持続可能である点を証明することで、保険付保を叶えました。また、広い市場との関係性を活かして、保険の限度額が倍増したにもかかわらず、以前の所有者と同等の有利な保険条件を得ることができました。
マーシュが誇る保険手配の専門家が支援した結果、お客様は2年間の固定レート、かつ以前よりも3.5%安い保険料*で契約を締結できました。
マーシュのグローバル保険手配チームは、補償ギャップを埋めて費用対効果の高い補償を付保するだけでなく、需要が非常に高い引受キャパシティの獲得も支援しています。鉱業企業向けの操業開始遅延保険(DSU:Delay in Start Up)のカスタマイズが非常に困難とされる中、マーシュは、業界特有のリスクエクスポージャーを熟知したうえで、オーダーメイドのDSU締結に向けた交渉を推進しています。
ある鉱業会社は当初、マーシュとは別の保険ブローカーと連携し、オーダーメイドの操業開始遅延保険(DSU)の手配を模索していました。対象施設では、既存処理施設の規模倍増と自家用複合発電所の建造を計画されていました。当初の保険ブローカーは同プロジェクト内の複雑なリスク同士の相互関係や要件を把握できなかったため、お客様の要望に沿った費用対効果の高い保険プログラムを組成できずにいました。
担当がマーシュに代わって以降は、グローバルな専門性を活用すると同時に、プロジェクトの詳細や複雑性を徹底的に把握してもらうためのワークショップを開催しました。その結果、わずか2か月超で、マーシュの知見を活かし、再保険会社の要件と引受能力に関して幹事再保険会社と交渉し、同プロジェクトに合わせた契約条件でオーダーメイドのDSUを締結しました。
保険市場が厳しい場合、DSUの締結において、共同保険会社が特定のプロジェクトに特化した保険構造や契約は難易度が高く、時間も要しますがマーシュの専門チームは、わずか10日間で20億米ドルの保険を手配しました(一般的には30日間要するためその3倍の速さ)。
異常気象よる災害の頻度と深刻度が増す中、マーシュの保険手配チームは戦略、ソリューション、専門性を駆使して、財物保険の更改に先立って良好な成果を上げています。下記のケーススタディーもその一例です。
タイのある製造業は、自社工場が洪水や火災の高いリスクに晒されており、数年前に火災が発生した影響で財物保険の更改に課題を抱えていました。現地およびグローバルの保険市場の両方がこの種のリスク引受に積極的ではなく、引受キャパシティが提供されたとしても保険料が高額になる状況でした。そのため、マーシュに白羽の矢が立ちました。
更改の5か月前、マーシュのグローバル保険チームはワークショップを開催してお客様に市場環境の概要をお伝えし、更改に向けた戦略の足並みを揃えました。その一例として、リスク管理を重視し、リスクプロファイルの改善に向けて、投資や施策を戦略的に説明する戦略を立てました。
同時に、再保険会社と面談し、先方が求める更改要件の理解にも努めました。直近の損害を踏まえて、マーシュは、積極的なリスク管理手法を示して、具体的な改善点を保険会社に説明する必要があると考えていました。そのため、マーシュのリスクエンジニアが、各種引受要件の適合に向けて、調査の実施や重要な詳細情報の収集を支援しました。
最終的に、共同保険(比例保険)との非比例保険の引受キャパシティを同時に確保することで、費用対効果の高い、保険プログラムを再構築し、以前の保険プログラムより15%*も安い保険料を獲得しました。
*各保険手配の成果は、企業のリスクプロファイルや保険商品の構成、保険金請求の履歴、リスク改善度によって異なります。