2024年7月、クラウドストライク社のソフトウェア更新が原因で世界的に大規模なシステム障害が発生し、輸送や小売、医療をはじめ、広範な業界で業務が混乱に陥りました。1 マーシュのお客様も500社超が影響を受け、うち375社以上から保険金請求が発生しました。
このクラウドストライク社の事象は、比較的早く収束したものの、デジタル化が進むサプライチェーン全体にシステム障害がもたらす影響の大きさを浮き彫りにしました。サイバーリスク対策を新たに導入する場合や既契約のサイバー保険を見直す場合は、自社を経済的損失から守るサイバー保険の仕組みを理解することが、テクノロジーリスクへのレジリエンスを高める上で非常に重要です。
サイバー保険では、IT関連のインシデントに起因して事業が中断した場合に、その損失と関連費用が補償されます。 具体的には、ランサムウェア攻撃や大規模な情報漏洩のほか、クラウドストライク社のソフトウェア更新に起因して発生した直近のシステム障害なども該当します。
サイバー保険は、被保険者である企業等(ファーストパーティ)が被った損害と取引先などの第三者(サードパーティ)に与えた損害を幅広く補償するように設計されています。
ファーストパーティ型保険の補償範囲:
サードパーティ型保険の補償範囲:
ネットワークのダウンタイムに関する保険金請求では、通常、保険契約に基づく請求が可能になるまでに4時間から12時間の待機時間が設定されています。 サイバー保険の適切な補償額と貴社に適した保険条件については、信頼できる保険仲介の専門家やリスクアドバイザーまでご相談ください。
現在、サイバー保険を手配するには、保険会社が指定するリスクコントロールを導入済みであることが前提条件となっています。特に多要素認証(MFA)、メールフィルター設定/Webセキュリティ、特権アクセス管理(PAM)、エンドポイント検出・対応(EDR)などの対策を講じていれば、通常は有利な条件でサイバー保険を契約することができます。
マーシュのサイバー・セルフアセスメント・ツールを利用すれば、どのような規模の組織であってもサイバーリスク対策の成熟度を見直し、同業他社と比較して対策の不備を特定しやすくなります。 サイバーリスクの保険化の可能性を高めるために強化すべき事項を洗い出し、保険料の低減にも貢献します。
あらゆるものがデジタルでつながる今、不可避のサイバーインシデントに対して財務面の補償と事故対応サポートの両方を提供するサイバー保険の重要性は高まる一方です。現状のサイバーヘルスチェックやおよび補償範囲の検証などをお考えの場合は、是非当社にご相談ください。
1 Reuters. (2024). Microsoft says about 8.5 million of its devices affected by CrowdStrike-related outage. https://www.reuters.com/technology/microsoft-says-about-85-million-its-devices-affected-by-crowdstrike-related-2024-07-20/