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港湾・貨物空港の渋滞と船便・航空便の遅延

地政学リスクや極端な気象が海運市場に与える影響とソリューション:貿易中断保険(TDI)

Port congestion

新たな世界秩序が形成されるなか、地政学的な情勢はますます不安定になっています。この変化する環境により、国際商取引を支える海上・航空ルートはさらに複雑化し、主要な貿易回廊に影響を及ぼしています。

イラン情勢の緊迫化によりペルシャ湾での物流中断が深刻化したことを発端に、海運・航空貨物市場は輸送コストの大幅な上昇と遅延、港湾・空港の混雑、サプライチェーンの混乱という連鎖的なリスクに直面しています。加えて、米中間の貿易規制の変化がアジア企業の貿易・調達活動をさらに難しくしており、不安定な情勢下における柔軟なリスク管理や代替ルート・調達先の確保といった対応が一層求められています。

地政学的な圧力に加えて、近年の気候変動もアジア各地での物流中断を引き起こす重要な要因です。台風や暴風、洪水は主要港を頻繁に混乱させ、短期間の閉鎖であっても貨物の滞留や輸送遅延を招きます。アジアでは、2025年に台風ラガサなどの暴風雨により、上海、寧波、クラン、シンガポールの各港で7日間にわたる大規模な混雑と船舶の集中が発生したケースや、日本の関西空港が台風で機能停止し貨物輸送に多額の物流追加費用を要した2018年、19年の事例が挙げられます。

現在、保険会社により対象輸送区間の延長、在庫保管中、迂回中の貨物に対する補償など、より柔軟な保険商品の提供が進んでいます。一方、輸送途上で貨物が長期間保管されるケースが増えているため、保険会社は保管環境の厳格な確認を求めるようになっており、遅延時に貨物の適切な管理・運営される施設であることを示す証明書類を要求されるケースも増えています。

不安定な市場における貿易中断保険  (Trade Disruption Insurance / TDI)の必要性

港湾や貨物空港での渋滞が発生している環境下、また今後も発生の可能性が高まる中、荷主企業は業務への影響をより慎重に評価する必要があります。ホルムズ海峡、紅海、スエズ運河など重要水路での迂回が続くことでアジアや欧州の主要港湾・貨物空港の異常な混雑状況はいまだ悪化傾向を示しており、加えて、関税や貿易規制の変動も混乱をさらに深めています。荷主企業は自社のオペレーションを注意深く評価する必要がある中、追加輸送コストをヘッジする重要な補償として貿易中断保険(Trade Disruption Insurance / TDI)が有効です。

世界の最も混雑するコンテナ港のうち9割がアジアにあるという状況を踏まえると、これらの保険は、企業が競争力を維持するために不可欠な補償といえるでしょう。

貿易中断保険 (Trade Disruption Insurance / TDI)とは

貿易中断保険は、貨物自体の損害をてん補する貨物保険の特約として、貨物自体に危険が発生していなくても貨物の輸送経路に特定の事象が生じた場合に追加費用を補償するものです。

貿易中断保険の主な補償内容とメリット

  • グローバル貿易の課題への対応:自然災害など、特定のリスクによる貿易の混乱に対応するよう設計されています。
  • 事業中断に対する包括的補償:極端な気象事象、海上危険などによる貿易の混乱に起因する事業中断損失を補償します。
  • リスク移転ソリューション:従来の貨物保険が貨物自体の損害や特約による付随追加費用をカバーするのに対し、TDIはこれらのギャップを埋める補償です。
  • 補償能力:保険会社や保険契約により異なりますが、1事故あたり数百万円から数億円の補償が提供されています。
  • 現時点、日本では戦争リスクに起因する貿易中断保険は対象外です。

革新的なリスクソリューションで大規模な費用損害補償を強化

変動の激しい現在の貿易環境において、貿易中断保険は単なる選択肢ではなく、グローバルおよび域内貿易に関与する荷主企業にとって必須な補償といえます。業務の継続性を確保するためリスク評価と最適な保険ソリューションの検討をおすすめします。

マーシュでは貿易中断保険が付帯した契約を多数取り扱っております。詳細については以下よりお問い合わせください。

”貿易中断保険(TDI)は、極端な気象事象や海上危険または予期せぬ政策変更によって生じた、事業中断による費用損失を補填するためのリスクソリューションとして、貴社のビジネスへの影響最小化とサプライチェーンの強靭化を支援します。”

Yasushi Yonehara Cargo team leader, Marsh Broker Japan

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