建設業は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染症が最悪期にあり、世界経済が大きく混乱する中においても、特に高いレジリエンス(回復力)が見られました。COVID-19 危機がもたらした経済の落ち込みは、約 80 年前の大恐慌以来で最悪と言われています。
世界経済の短期的な見通しは、インフレ率の上昇、サプライチェーンのボトルネック問題、デルタ変異種の脅威により引き続き不透明な状況ですが、建設業は、COVID-19 パンデミックからの回復期において、世界各国で中期的な経済成長を主導すると考えられ、製造・サービス業の成長ペースを上回る見通しです。
世界の建設市場は、2030 年までの 10 年間で 4.5 兆米ドル拡大し、15.2 兆米ドルに達すると予測されます。オックスフォード・エコノミクスの分析によると、中国、インド、米国、インドネシアの 4 ヵ国だけで、こうした市場拡大の約 60% を占め、また、世界で上位 10 の建設市場が、約 70% を占めると予想されています。
先進国において、積みあがった膨大な家計貯蓄の一部が、パンデミックからの回復期に消費にまわることで景気が押し上げられ、各国の住宅建設市場の成長が促進されると予想されます。
パンデミック後の景気刺激策として行われるインフラ投資も、建設需要の上昇傾向に追い風となります。
本レポートで取り上げるテーマは、気候変動、ESG への取り組み、ビルリフォーム・リノベーション業界の発達、最新の建設技術の組み込み、リスク特性の変化、建設業の今後を形づくる機会の創出などです。