蓄電池システム(BESS)、浮体式太陽光、AIデータセンターなどの新技術は、実績や損失データの蓄積が限定的であるため、保険会社や金融機関からより厳しい査定を受ける傾向があります。
マーシュでは、設計における前提条件、火災・自然災害への耐久性、運用管理、想定損害シナリオなど、保険会社や金融機関の査定を受ける前に、注視される要件とのギャップを評価することで、プロジェクトチームを支援します。
企業を取り巻くリスクは絶えず変化します。設計段階におけるリスクの見落としは、後々、高額な改修や工事遅延、準拠法令からの逸脱に繋がります。実際、建設やエンジニアリング案件の手戻りの70%は設計段階での不備とも言われています。こうした設計上の課題は、規制面からのリスクを生むだけでなく、完成後の保険コストの増加を招き、長期的なリスク負担を増やしてしまいます。
保険更改時には、保険会社による査定が一段と厳しくなります。様々なリスクが混在するプロセス、過去の損害実績、自然災害をより技術的な観点で精査される傾向があります。
そのため、提出資料が要件を満たしていない場合、保険料の上昇、引受キャパシティの縮小、不利な引受条件の提示につながりやすくなります。
より本質的な問題は、保険会社との交渉の場そのものにあります。技術的な説明や発言が保険会社の側に偏ると、不利な結果を招く恐れがあります。
マーシュのリスクエンジニアリングチームは、そのギャップを埋めることができます。引受の判断材料となる資料を作成し、エクスポージャーデータを検証し、想定損害シナリオを定量化することで、保険会社との交渉を有利に進めることができるよう支援します。
1) 着工前:設計段階でのリスクの特定
設計上の課題は、工事が進行してからでは是正が困難となり、改修費用も高額になります。マーシュのデザインレビューでは、設計変更が可能な早期段階で次のような設計上の課題を洗い出します。
データセンター、再生可能エネルギー、インフラ開発、最先端技術の製造施設では、設計の早い段階でレビューを実施することで、工期や保険条件に影響する課題を事前に洗い出し、対応策を検討することができます。
2) 専門的モデリング:複雑なリスクシナリオを高い確度で検証する
一般的な評価では不十分な高リスク施設に対し、マーシュではCFD(Computational Fluid Dynamics、数値流体力学)モデリングを用いて、火災・煙・爆発・有毒ガス拡散などのシミュレーションが可能です。これにより、実環境における火災や煙、毒性ガスなどの拡散事象を可視化でき、半導体クリーンルーム、データセンター、蓄電池システム(BESS:Battery Energy Storage Systems)、化学品倉庫などで、より適切な設計判断と説得力のある保険設計根拠に活用可能な資料を作成します。
3) エクスポージャーと損害モデリングの活用:補償限度額の妥当性を検証する
不正確・未検証の資産データは、保険の更改交渉では、不利になりがちです。
マーシュは資産データを検証し、想定最大損害(EML:Estimated Maximum Loss)や事業中断(BI:Business Interruption)、自然災害リスクを含む損害シナリオをモデル化します。
これにより、免責金額、補償限度額、自己保有額、保険料のバランスを判断するための社内コンセンサスを得やすい資料作成を行います。
必要に応じて、資産評価(バリュエーション)やリスクファイナンスの最適化も行い、保険プログラムに最も効率的な自己負担・限度額・保険料の組み合わせを提案します。
4) 更改前支援:保険会社との交渉の事前準備をサポートします
マーシュは、保険会社がリスク量、補償内容、保険料を検討するために必要な技術情報をまとめた「プロパティ・アンダーライティングサーベイ」を提供可能です。
精力的に実施されているリスク対策を整理し、交渉を有利に進めるための資料を作成します。
これにより保険会社との交渉では「何が改善したか」「残る課題は何か」「対策がリスク全体にどう効くか」を根拠とともに説明できます。
課題:浮体式太陽光の建設プロジェクトで、金融機関(レンダー)から「想定最大損害(EML)」について第三者による評価が求められました。
過去の損害査定に疑問が出たため、自然災害リスクや設計上欠陥の要素がプロジェクトのリスクにどう影響するか、より明確な説明が必要でした。
対応:マーシュは、自然災害リスク、計画されている設計仕様、建築・運用に関するリスクを網羅的にレビューしました。また、クライアントおよび関係者とのワークショップを通じて課題を洗い出し、重要リスクに対する認識を合わせ、プロジェクト全期間(建設〜運用)にわたる対策の優先順位を整理しました。
成果:マーシュは、実行可能な改善提案を含む、プロジェクトのリスクプロファイルを、体系的かつ客観的な根拠に基づいて評価した結果を提供しました。これにより、リスク管理の強化につながるだけでなく、資金調達と保険の両方の協議で使える技術的根拠が整い、レンダーの安心感・信頼を高めました。
課題:ある半導体メーカーは、クリーンルームの火災保険の補償限度額をより詳細な分析データに基づいて設定する必要がありました。これまで経験則に頼っていたため、保険金額の妥当性を示しにくく、 更改交渉でも根拠に基づいて説明できない状況でした。
対応:マーシュは、火災シミュレーション(火災挙動解析)を用い、クリーンルームでの最悪ケースの火災・煙拡散をモデル化しました。その上で、想定される最大損害を推定し、適切な保険限度額を算定しました。
成果:想定最大損害(EML)など、モデリングに裏付けられた明確な根拠が得られ、火災保険の判断と更改交渉を支える「説明可能な証拠」を得ることができました。加えて、リスク削減に向けた実務的な安全対策の提言も得られました。
業界に精通した専門家を擁するアジア最大級のチーム
マーシュはアジアに90名以上のリスクエンジニアを擁しており、ハイテクおよび半導体製造、データセンター、再生可能エネルギー、エネルギー・電力、建設・インフラ、パルプ・紙などの分野別スペシャリストが保険交渉に参画します。各国の言語対応により、業界特有のリスクを整理し、クライアントにも保険会社にも伝わる形で説明します。
リスクの定量化から保険の手配までのエンドツーエンドの支援
多くのリスクエンジニアリング企業は技術評価にとどまりますが、マーシュはさらに踏み込みます。工学的評価に加え、損害モデリング、事業中断(BI)分析、シナリオ分析を統合し、引受判断に資するアウトプットを提供します。さらに約款をレビューし、補償条件のギャップや不整合な条項を特定し、付保・更改プロセス全体を通じてお客様をサポートします。
検証データに基づくクライアント側の技術的支援
マーシュは保険会社のアンダーライターに対して、技術的な根拠を直接説明できる「クライアント側のエンジニア」として、協議の場で貴社の立場を支えます。
検証可能で監査にも耐える資産データと、独自の自然災害データセットに基づくため、貴社のリスクプロファイルは技術的に妥当であるだけでなく、厳しい精査にも耐えうる内容になります。
プロパティアンダーライティング調査とは、物件リスクを評価し、保険会社がエクスポージャー、補償内容、保険料を判断するために必要な技術情報を収集・整理するものです。マーシュのリスクエンジニアリングでは、現地調査、資料レビュー、関係者へのヒアリングを通じて、付保・更改の交渉に活用可能な「引受判断レベル」の根拠資料を作成します。
事前のアンダーライティングレビューは、保険の更新前はもちろん、大きな設備変更や保険金支払いが生じた損害事故後、また保険会社から追加の技術情報を求められる場合に有効です。一般的には、更新期間の3か月前から準備を始めることで、不足情報の整理や保険会社の懸念事項への対応に十分な時間を確保できます。
蓄電池システム(BESS)、浮体式太陽光、AIデータセンターなどの新技術は、実績や損失データの蓄積が限定的であるため、保険会社や金融機関からより厳しい査定を受ける傾向があります。
マーシュでは、設計における前提条件、火災・自然災害への耐久性、運用管理、想定損害シナリオなど、保険会社や金融機関の査定を受ける前に、注視される要件とのギャップを評価することで、プロジェクトチームを支援します。
保険会社のアンダーライターは、企業のリスクが「特定され、定量化され、適切に管理されている」ことを示す明確な根拠がない限り、顧客に対して、有益な保険条件を提示しにくいのが実情です。
マーシュのリスクエンジニアリングチームは、保険引受に資するアンダーライティングレポートを作成し、ハザードが顕在化した場合のリスクの定量化を実施します。
また、技術的な所見をクライアント様に代わって、保険会社へ直接説明することも可能で、保険交渉の場でのクライアント様の発言力と説得力を高めることができます。