宮垣 俊一
マーシュ ブローカー ジャパン
Marshの「Political risk report 2026」によると、各国政府はデジタルインフラをゼロサムの観点から捉える傾向を強めており、その影響はすでに現れています。中東紛争が激化する中、Amazonの大規模データセンター3カ所がドローン攻撃の標的になったと報じられています。これらの施設は停止を余儀なくされ、地域全体で銀行業務、決済、エンタープライズソフトウェアに混乱が生じました。この意図的な攻撃は、デジタルインフラが地政学的紛争における戦略的資産であると同時に、潜在的な標的でもあることを明確に示しています。
今日の複雑な地政学的環境において、データセンターやデジタルインフラを、技術面またはオペレーション面の基準だけで評価することはもはやできません。地政学リスクは、戦略立案、投資判断、サプライチェーン管理、ステークホルダーとの関係にまで影響を及ぼしています。
重要資産を守り、投資を保護し、オペレーショナル・レジリエンスを確保するために、組織は以下の主要な取り組みを含む包括的なアプローチを採用すべきです。
経営チーム間で地政学的リスクに対する共通認識を構築し、計画、オペレーション、エンタープライズ・リスク・マネジメント(ERM)の枠組みを早期に組み込む組織は、レジリエンスが高く、不確実な状況でも明確な判断に基づいて行動しやすくなります。これは、競争の激しい環境で先行者利益を確保するための鍵となり得ます。
リスク戦略の中で地政学的な変化を先取りして評価する企業は、新たな機会を見いだし、下振れリスクを回避し、環境が厳しくなる前にステークホルダーと長期計画の方向性を合わせられる可能性が高まります。
Marsh Riskの高度な分析モデルであるWorld Risk Reviewは、起こり得る紛争リスクの対象を絞り込み、より戦略的なリソース配分を可能にします。
地政学的競争が世界貿易を変える中、従来の取引関係は予測しにくくなっています。企業は新たな顧客やサプライヤーを獲得する機会を得られる可能性がある一方、代金未払い、債務不履行、契約不履行にさらされるリスクも高まります。
したがって、貿易、サプライチェーン、資金調達の意思決定に柔軟性を組み込むことが重要です。これには、サプライヤーネットワークの再構成、取引相手の分散、貿易信用保険、事業中断(BI)保険、ストラクチャード・クレジット保険などのリスク移転ソリューションの活用が含まれます。
Sentriskのようなデータドリブン型のツールは、サプライチェーンをリアルタイムで可視化し、地政学的な混乱をより早く、効果的に予測して対応することに役立ちます。
デジタルインフラが戦略的な標的となる中、物理的資産と金融資産を保護することの重要性はますます高まっています。保険は、政治的暴力や国家によるサイバーインシデントへの介入、プロジェクト遂行上の課題まで、予測やコントロールが難しいリスクから資産を守るうえで重要な役割を果たします。こうした対応は、シナリオプランニングと組み合わせ、資産、取引相手、各法域にまたがるリスクをより広い視点で捉えることで、最も効果を発揮します。
企業は、地政学リスク、サイバーエクスポージャー、パフォーマンス関連リスクがどのように相互作用するかを検討し、以下を含む適切な補償体制を構築しておくべきです。
マーシュのグローバルポリティカルリスクチームは、ポリティカルリスクおよびストラクチャード・クレジットの顧客に対し、総額3,500億米ドルの保険補償を手配しており、28カ国に150人を超える専門家を擁しています。マーシュは地政学リスクに関する高度な専門知識と統合されたデジタルインフラソリューションを組み合わせ、企業・組織が抱えるエクスポージャーの評価、投資の保護、複雑さを増す事業環境の中での対応を支援します。マーシュは、マクロリスクやポリティカルリスクの動向に関する分析や知見も提供しており、「Political risk report」もその一つです。
マーシュ ブローカー ジャパン