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データセンター建設向け:LDI(遅延損害金保険)とは?

データセンター建設の遅延は、契約上の遅延損害金(予定損害賠償)という大きな負担につながることがあります。遅延損害金保険(Liquidated damages insurance、以下「LDI」)は、工期遅延により請負業者が負担する遅延損害金リスクを、保険でカバーするためのソリューションです。

LDIとは?

LDIは、建設契約上の遅延損害金(Liquidated Damages、以下「LD」)を負担する可能性がある請負業者向けの保険です。プロジェクト遅延が発生した際、契約で定められた遅延損害金額を、保険条件に従って補償します。

LDIは通常、「契約優先(contract-first)」の考え方で設計されます。保険約款は、元の建設契約におけるLD条項や工期延長(EOT)条項を、できる限り正確に反映するよう設計されます。

LDIはどのような会社に必要ですか?

LDIは、厳格で交渉の余地がない遅延ペナルティを負う請負業者にとって重要な補償手段です。こうしたペナルティは、請負業者の支払能力やキャッシュフローを大きく圧迫するおそれがあります。

スキームによっては、請負業者のLD金額を超える範囲で、プロジェクトオーナー側のサービスレベル合意(SLA:Service Level Agreement)未達による損失まで補償範囲を拡張することが可能な場合があります。

データセンター建設において、LDIが不可欠になるのはどのようなときですか?

プロジェクトの遅延ペナルティが請負業者の利益率を上回るおそれがある場合や、大きな財務責任が生じる可能性がある場合、LDIは不可欠になります。特に、以下の4つの条件下で重要性が高まります。

  1. 高い財務リスク:日額ペナルティ率や責任上限(キャップ)が、請負業者のマージンに比して大きな負担となる。
  2. タイトなプロジェクトスケジュール:厳格なマイルストーン期限が設定され、予期しない遅延を吸収する余地が小さい。
  3. 厳格なリスク管理方針:コーポレートガバナンスや財務管理ポリシーにより、ヘッジされていない遅延責任の計上額に対する制限が課せられる場合。
  4. ステークホルダー要請:融資する金融機関やジョイントベンチャー・パートナーから、プロジェクト参画や融資実行の条件として、正式なリスク移転メカニズムを要求する場合。

なお、操業開始遅延(DSU:Delay in Start-Up)保険も遅延による財務損失を補償しますが、補償対象はデータセンタープロジェクトのオーナーに限られます。また、建設工事保険(CAR:Construction All Risks)または海上貨物保険(Marine Cargo)で補償される物的損害に起因する遅延が発生した場合にのみ保険金支払いの対象となります。DSU保険は請負業者ではなく、オーナー側を対象とする保険です。

LDIで何が補償されますか?

LDIは、請負業者が建設契約に基づき遅延損害金の支払義務を負い、かつ保険条件を満たした場合に補償されます。補償範囲は案件ごとに調整され、主に次の点を確認します。

  • 遅延損害金の定義と適用条件(対象マイルストーン、発動条件等)
  • 工期延長(EOT)条項と、遅延の判断・証明方法
  • 免責となる遅延の原因、施工管理・報告の要件
  • 保険金請求に必要な資料(工程表更新、遅延分析、契約上のやり取り等)

LDIはどのように手配できますか?

契約内容、市場環境、保険会社の引受方針によって、条件は異なります。実務上は、契約のリスク配分とプロジェクト管理体制を整えた上で、保険設計を詰めるのがポイントです。

手配の進め方:

  • 免責期間/免責金額(一定期間・一定額までを自己負担)
  • 共同保険(コインシュアランス)(損失の一定割合を自己負担)

設計時の主な論点:

  • 工程計画の実現可能性(バッファの有無)、難易度
  • 施工実績とプロジェクト体制
  • 施工管理、変更管理、サプライチェーン管理の体制
  • 日額LDと責任上限(キャップ)の水準

アジア市場では引受キャパシティの拡大や競争の激化により、LDI手配の検討がしやすくなってきています。

事例:マーシュが支援したLDI手配(データセンター建設)

アジアのデータセンター建設案件において、オーナーが将来のテナント(運営者)に対して負うSLA違反ペナルティに基づいて、請負業者に大きな遅延損害金リスクの移転が求められました。日額ペナルティと責任上限が設定される条件下で、マーシュは以下のアプローチにより課題解決を支援しました。

マーシュのアプローチ:

  • 概算の保険料レンジや想定シナリオを提示し、顧客内部の検討を支援
  • 建設契約の条項と保険約款のギャップを分析し、文言の整合性を交渉
  • 引受人との詳細検討に向け、施工管理体制と財務管理態勢を含めた準備を支援

結果:

  • 条件交渉により保険料と補償内容の最適化を実現
  • 財務的な負担を最小化しながらプロジェクト受注を実現

「データセンター建設では、保険の検討は契約段階から開始する必要があります。遅延損害金、SLA条件、工期延長条項、責任上限がオーナー、請負業者、将来のテナントの間で整合していることが、プロジェクト成功の要となります。」

Stephen Boddington
Strategic Client Director, Construction, Marsh Risk Asia

マーシュが選ばれる理由

マーシュはアジア地域におけるデジタルインフラ関連と建設リスク分野の大手ブローカーとして、複雑なデータセンター建設プロジェクトを支援してきた実績があります。

  • データセンター事業者 上位25社の75%、大手クラウドサービスプロバイダーの80%、および機関投資家から信頼を獲得しています。
  • 過去4年間で、合計容量2,000MWを超える35件以上のデータセンター建設プロジェクトを支援してきました。

マーシュのデジタルインフラ契約アドバイザリーチーム(元契約弁護士、リスクマネジャー、保険スペシャリストで構成)は、先進的な社内AIツールを活用して、デジタルインフラ・プロジェクトのリスク分析と保険設計を提供しています。

データセンター建設では、多数の複雑な施工パッケージが関わる傾向があります。プロジェクト全体のエコシステムにおける契約条件の整合性を確保することで、補償の齟齬を防ぎ、プロジェクト成功を実現することが重要です。

遅延損害金リスクの評価をご検討ですか?

遅延損害金リスクの評価や、LDIの導入可能性に関するご相談は、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。追って、担当者よりご連絡を差し上げます。