【注】こちらの記事は、エルニーニョ現象が東南アジアに主に与える影響についての記載になります。日本では、エルニーニョ現象により、通常より夏の気温上昇が抑えられますが、黒潮大蛇行などによる日本近海の海水温の上昇により、近年の酷暑化が進んでいると考えられています。
エルニーニョは東南アジア全域で猛暑と水不足を引き起こしています。2026年のオックスフォード大学の調査によると、ホーチミンとバンコクはすでに世界有数の猛暑リスク都市にランクされており、高温が湿度や過密な都市人口と重なって地域全体のリスクを高めています。
この猛暑リスクは、東南アジアで最も急速に成長しているデータセンター産業への影響を強めています。東南アジアのデータセンター開発業者・オーナーにとって、猛暑と降雨量の減少は水供給と電力供給に負荷をかけます。それらが機能不全に陥ると、冷却システムが連鎖的に停止し、事業中断につながります。
同様のプレッシャーは、通信ネットワーク、半導体メーカー、機器サプライヤー、ユーティリティ企業を含むデジタルインフラのエコシステム全体に及びます。建設フェーズと操業フェーズはそれぞれ異なるリスクにさらされており、固有の対応策が求められます。
猛暑と水不足は、建設現場に次の3つの形で影響を与える可能性があります。
1日の工期遅延がそのまま引き渡しの遅れとなり、資金調達コストが発生し続ける中で収益の開始も先延ばしになります。請負業者は天候を理由に工期延長を求めることができ、遅延ペナルティを免れる場合があります。しかしオーナー側は、テナントや買主との間の遅延損害金責任をなお負う可能性があります。建設遅延保険(Delay in Start-Up)は一般的に物的損害を伴う場合にのみ発動するため、熱波や水不足のみに起因する遅延は通常は補償対象外となります。
操業中の稼働率を最大化するには、コスト効率の観点から計画・立地場所選定の段階で将来のエネルギーおよびユーティリティの課題を想定したモデリングを行うことが最も効果的です。施設が稼働を始めると、リスクは施設の外側に移行します。以下の3つの依存関係が同時に圧迫されます。
エルニーニョによる混乱が物的損害を伴わずに発生した場合、従来の事業中断保険は発動しない可能性があります。また、ユーティリティや仕入先の拡張補償は保険約款によって内容が異なるため、オペレーターは未保険の収益損失やSLA違反責任にさらされるリスクがあります。
エルニーニョが収束しても、リスクは終わりません。エルニーニョからラニーニャに移行すると、リスクプロファイルは熱波・干ばつから大雨・洪水へと変化し、排水設備、変電所の設計、設置場所の選定、事業全体の継続計画に影響を及ぼします。
マーシュは、デジタルインフラおよびデータセンターのライフサイクル全体—立地場所選定・建設から操業まで—にわたってデータドリブンなインサイトの提供とリスク対応の支援で、世界の主要な開発業者・オペレーターから信頼されています。
エルニーニョは2027年初頭にかけてさらに強まると予測されており、結果を変えられる意思決定を行う機会は今です。マーシュにデータセンターの気候リスクアセスメントをご依頼ください。熱波、水不足、ライフラインの混乱が建設予備費や操業上の許容範囲を超える箇所、およびリスク緩和策・事業継続・保険判断の優先事項を特定します。